■2004年3月1日(月)〜3月16日(火)■

3月16日(火) 人選に事故あり、さてどうする         文責:タケ
 終日仕事場で座業。その途中、『酒とつまみ』の「酔客万来」という押し掛けインタビューの人選でちょっとした事故があった。昨年のうちからご登場のお約束をいただいていた方が、最近少しばかり体調がすぐれないということなのである。さて、どうするか。小生すぐに高田渡さんを思い浮かべた。たいへんな酒好きであることは伝え聞いている方だし、我らの地元吉祥寺においては、午前中から「いせや」の店頭で飲んでいる姿を何度か見ているのでもある。しかも、小誌発行当初から、いつかは高田さん、という雰囲気はあった。そこに加えて先日、4月から劇場公開される『タカダワタル的』を観て感動もしている。編集スタッフ一同に問うと、異存なし、とのこと。そこで吉祥寺「ハバナムーン」を訪れ、紹介を頼めるかと聞くと、ここのマスターである木下さん、高田さんとは親しいから、大丈夫ですよ、決まったらいつでも言って下さいと、即座に請合ってくれた。そして、店にある高田さんのCDを何枚も貸してくれたのである。人選の危機はこうして、即座にクリアされた。しかしながら、あの高田さんと飲むのかと思うと、どうにもこうにもアガッテしまって、腹は痛くなるわ、いつもより酒が進むわで、いけません。まだご本人に頼んでもいないのに、腹が痛い、酒が進む。

3月15日(月) バーのハシゴ、でも仕事です          文責:タケ
 本の紹介記事を夕方までに書き終えて、夜はまず、銀座の某バーへ。洋酒関連の仕事で取材をさせてもらったバーへ、確認のための原稿を届けるのだ。メールやファックスより実際に届けたほうが失礼がなくて良いでしょ。とか言いながら、なに、それにカコつけて飲みたいだけというのが本音。次に向かったのが渋谷。ここは、雑誌で取材を予定しているバーで、まずはその下見ということ。編集者さんと一緒にオーナーバーテンダーのお話など聞きながら、上等なシングルモルトを飲む。そのまますっきり帰宅。いつもこれくらいだと身体も財布も楽なのだ。仕事だと乱れるわけにいかないから、ちょうど良いのかもしれません。

3月14日(日) 終日読書、夜はタラチリ            文責:タケ
 本の紹介ページに記事を書くための読書。もう、最後の1冊なので、焦らずゆっくり1日をたっぷり使って読む。高山文彦さんの『鬼降る森』。森に伝わる伝説のおもしろさと、森そのものの描写に惹かれて夢中で読む。少し酒を飲んだような陶然とした気分にさせてくれる文章を味わい、読了して入浴。コブと豆腐とタラの切り身を用意して座卓にはカセットコンロと鍋を設置。コブだけで出汁をとって、タラを、それから豆腐を投入。煮えるまでの間にネギを刻み、カツオブシ、醤油、酢、少しばかりの擂りニンニクを落としたポン酢を作成、大瓶のビールとコップを横に置く。ああ、できた。もうこれで十分。満ち足りた気分になって、家族との夕食に先だち、ひとり晩酌を始めてしまうのであった。

3月13日(土) ナムルでマッコルリ・ビール          文責:タケ
 ダメ出しされてしまった仕事のやり直し。なんとか夕方までにやり遂げてみると、珍しく家族全員そろっているので自転車に乗って近くの焼肉屋へ。こっちは、肉はタン塩の2、3枚で十分、脂っこいところは若いもんに任せて、ナムルにチヂミをつまみつつ、マッコルリのビール割りをやる。これ、好きなんですよねえ。『酒とつまみ』3号の特集で、にごり酒をホッピーで割る「にごりっピー」がベスト1に輝きましたが、あれに、ちょっと似ているか。締めはテグダンクッパ。ゲホゲホと辛さにむせ返りつつ、マッコルリ・ビールを喉に流し込む。ダラダラと額に汗が流れて、強烈にパワーアップした感覚を久しぶりに味わった。

3月12日(金) 西口やきとん、きつ〜いボールを       文責:タケ
 日経BP社から出る『モノクル』という雑誌に、「居酒屋テレビ」というタイトルでエッセイを1本、書かせてもらう。嬉しい。取材記事でなく、エッセイ。そんな注文ありませんから、ひたすら嬉しい。しかし、その日入稿のもう1本の別の雑誌の記事はダメ出しされて意気消沈。Sさん、Wクン(この二人もほんとによく飲んでます)と、『浅草橋西口やきとん』の客となる。焼酎たっぷり氷なしのレモンハイ、通称ボールをぐびぐび。うまいんだ、このボール。電車のあるうち、ヨロヨロになって店を出て、吉祥寺でもういっちょ。Hのカウンターは満席だったので、テーブル席でWクンと差し向かい。久しぶりにいろいろ話す。毎日会っていて、週に少なくとも3回は飲んでいるのに久しぶりに話すとはいかなることか。それはともかく、飲んでいると気分が晴れる状態はまだ続いている。

3月11日(木) 酒臭い、酒臭すぎる、このワタシ       文責:タケ
 午後1時。雑誌『編集会議』の取材を編集部にて受ける。まだ、酔っ払っていて、異様に酒臭いのが自分でもわかる状態で、まったく、申し訳ない。昨夜、Rの後で山内女史ともう一軒、今度こそ打ち合わせだと言いながら飲んでしまったので、小生の場合、その影響が消えず、こんなことに。編集のTさん、本当にすみません。ところで取材の内容は『マイマガジンの作り方』というもので、企画はどうやって立てるか、台割作りはどうするのか、雑誌のコンセプトはなにか、などいろいろ答えるべきなのだが、小生、実はよく分かってない。営業の話ならってな具合で、喋りまくるが、これはもう、取材者泣かせ以外の何物でもない。ホント、すみません。反省して、本日、飲まず。いや、飲む気だったけれど、吉祥寺でともかくラーメンを腹に納めたものの、バーの階段を上がる気力が失われていた。

3月10日(水) 昨日のコピーか、今日もとことん       文責:タケ
 役場から仕事場へ移動、やってる内容も昨日をコピーしたような1日。ひとつ違ったのは飲み屋。今夜は月曜日にひきつづきRである。連載陣のひとり山内女史と打ち合わせだ。Sさん、Wクンも同行して、にぎやかに飲む。この店ではハイボール150杯というのを1日の目標に掲げていて、一人10杯で致死量、いやいや小生などは5杯もいったらロレツ回りません。そこで山内女史のパワーを借りて、我らがテーブルはいつものように、店の目標達成に向けておおいに努力を積むのである。そういうことで、せっかく来ていただいたのに打ち合わせもせず、とことん、という感じになった。

3月9日(火) 眩暈とレモンハイの相性             文責:タケ
 ヤボ用で役所に出す書類に不備があってつき返され、頭に来たので昼から飲んでやろうかと思ったけれど、最近ちょっと眩暈がして気分がはなはだよろしくない。パニック障害のごく軽いヤツを持病としているので、その前兆かいななどと軽く考えているのだが、もっといけないもんなんじゃないかという不安もあって、昼から飲むのは止めて仕事をする。そう、これでいいのだ。しかし、やっぱりに夜になるとね、どうしてか飲んでしまう。軽い眩暈を感じつつ、カメラSさん、編集Wクンと『上海』の客となり、ピータン、水餃子、棒春巻きなど、いつものつまみでレモンハイ。くいくいと飲んでいくとあら不思議って当然ですが、気分の高揚に合わせて眩暈も消えるのだ。きれいに消える。はなはだ気分が良くなって、また、くいくいと飲む。飲んで気が晴れるって、やっぱ精神的なもんか。飲めば血圧も下がるからそっちのほうか。どうも最近、辛気臭いよ。

3月8日(月) 『ブラザー軒』に泣く               文責:タケ
 昼間は仕事場でいそいそと仕事して、宵の口、コリドー街へ。アルタミラピクチャーズ制作の『タカダワタル的』試写会の招待状が、少し前に、なぜか我らが編集部に届いていたのだ。こんな幸運はないとばかりに出かけたわけだが、映画がまた良くてねえ。高田渡さんの歌については、小生まるで詳しくなかったが、どれもいい歌で、中でも『ブラザー軒』という一曲にはやられてしまった。あれはね、泣いてしまうよ、ワタシのようなものは。それから『生活の柄』という歌も、いいですねえと身を捩りたくなる。試写会場を出るとそこはコリドー街。酒飲んで自宅でご機嫌に眠り込んでしまう高田さんの映像がチラつき、とてもじゃないがまっすぐ帰れる状況にはない。なんて、人のせいにしてどうすると思う間もなく『ロックフィッシュ』の客となってハイボール、ガブ飲み。

3月7日(日) もうすぐバカボンパパなのだ           文責:タケ
 あはははは〜という二日酔い。今日ばかりは仕事はしない、と思い決めてしまうと気分はさらにゆるんでズルズルに。しかし午後3時には、義理の父母、義理の兄姉、小生の母とばあちゃん、次々に我が家を来訪。末娘の10歳の誕生日を、日曜日にやってしまおうということになっていた。みな、終始にこやかで、ゆっくりと食べ、飲む。祖父母がやってきてプレゼントをもらい、おいしい料理を好きなだけ食べて、ケーキの蝋燭を吹き消す。末娘は、ただこれだけのことが、腹の底から嬉しくて仕方がないといった面持ちだ。こういう1日を大事にしないといけないなと思い、少しは身体のことも考えないといけないなと自戒もする。来月で小生、41歳。41歳の春なのである。そう、とうとう小生も憧れのバカボンパパの年齢にさしかかるのだ。だからこそ、レバニラ炒めをいつでも腹一杯食べられるくらいに健康でなくてはいけないと思うのだ。

3月6日(土) 心配解消、ドカンと飲む             文責:タケ
 午前中、病院へ。小生ではなく、家内。健康診断の後で再検査が必要と申し渡され、本日がその結果を伺いに行く日なのだ。家内は一人で出かけたが、どうにも気になってしょうがないので、小生も後からこっそり病院へ向かう。待合室の最前列で旅行雑誌をめくっている姿を発見、しばらくそれを眺めていたら、ムショウに切なくなってきて、今度、小金ができたらどこへでも連れていってやろうなんて、途端に大袈裟な感情に飲み込まれてしまう。医師が検査結果をあっけなく説明するほんの1、2分の間、緊張していたのはむしろ小生のほうで、家内はケロリとした顔をしていた。結果は問題なし。小生、ドドドドーっという感じで安心して、病院の前からバスに乗り仕事場へ。はあ、良かった、良かった。そればかり考えながら夕方までまたまた地道に仕事。そして6時。近くの『ちゃんこ成山』へ。松崎菊也さん、二木啓孝さん、すわ親治さんの連載陣にご足労をいただき、例によってなにも打ち合わせない打ち合わせに突入した。いつものことながらとびきり愉快な席となって爆笑しつつ、生ビール2杯くらい飲んだところから調子が出てきて、そこは本日、ほんのひとつだけの心配も晴れたことだから、徐々に、ぐんぐんと、飲み体勢が整っていく。腹一杯になったところでまだ9時。よし、もう一軒、今度はホッピーじゃ、と近くの加賀屋へ。カメラのSさん、編集Wクンももちろん一緒。わあわあわあわあ喋りながらホッピーのガブ飲み、一足先に酔いの回ったSさんの言動怪しくなってきたところでお開き。メシも酒も腹一杯の、愉快な一夜になった。

3月5日(金) 毎日サッカーがあればなあ            文責:タケ
 本日も地道に原稿仕事を進行。忙しいと遊ぶヒマがないから金を使わないし、逆にその時間、いくらかでも稼いでいるわけだから、こんなにけっこうなことはないのだが、やっぱね、なんかおもしろくない。きっと、生来の怠け者なんでしょう、飲みに行きたい。でも本日はそれをぐっとこらえて22時には帰宅。何が起こったのか。なんのことはない、サッカー五輪最終予選をテレビ観戦するためなのだ。仕事場にもテレビはあるけれど、ここで深夜になるまで観戦してしまうと、その後がイヤで。帰るのも、その時間から飲みに出かけるのも。だから、急いで家へ帰り、ビール片手にテレビ観戦なのである。あれ、不思議ですねえ、家だと、いくらも飲まないのに、ほんわかと眠くなる。ああ、やっぱ飲みすぎてんだよなあ、なんて思ううち、ハーフタイムには居眠りを始め、後半は惰性で眺めて、そのまま蒲団のほうへずるずると移動して入眠。安上がりだ! サッカー、毎日やってくれないかね。

3月4日(木) 酒つま札幌支部は可能であるか          文責:タケ
 昨日にひきつづき、地味な仕事をコツコツと。午後、『本の雑誌』の浜本さんを訪ね近況などを報告。悩みのタネは返品であることを伝える。首都圏の書店さんなら、納品も返品も自分で行けばいいが地方都市の場合は宅配便を利用することになる。納品のときはいい。しかし、返品となると、それが2冊程度であっても、距離が遠ければ800円くらいの送料がかかってしまったりする。仮に8冊売れたとしても、送料800円で2冊返って来たら一巻の終わり。利益は吹っ飛ぶのだ。そんなことを話していると、真剣に考えてくださっていた浜本さん、「地方都市ごとにボランティアを募って営業支部にして、そこにまとめて送り、各書店への納品、返品の引き取りも支部で行い、そして返本がある程度まとまった分量になったら、それを1回で東京に送ってもらえば良いではないか」とのご意見。おお、なんと大胆な発想……。帰り道、小生は夢想した。遠いところと考えてまずは札幌支部を思い浮かべ、夢想はどんどん膨らんで、仙台、郡山、宇都宮、静岡、名古屋、大阪、広島、福岡も必要だろう云々。印刷所から『酒とつまみ』が納品されてくる。それを支部ごとに100部とか200部とか小分けにして、「ハイ、コレ、札幌支部ね!」なんてウキウキしながら発送業務をしている我が姿までも夢想してしまった。夢想はけっこう長く続いていて、その晩、京王線仙川駅前の「きくや」でビール1本に、レモンハイを2杯飲むあたりまで膨らみ続けていた。「待てよ。バックナンバーの取り扱いも、そうか、新規の営業も支部ごとに担当書店を決めればいかにも効率が良いぞ。そして年に1回くらいは支部長を招いて大忘年会を開催して慰労する。そうだ、これだこれだ」小生、妄想癖があるので、こうなると留まるところを知らない。まあ、いいか。妄想している分には誰に迷惑をかけるわけでなし。さて、各地方都市への支部開設という夢の叶う日は来るのであろうか?

3月3日(水) 数学やばし、早よ帰れ               文責:タケ
 二日分眠った感じですっきり目覚め、酒蔵セミナーの前にやっておくべきだった原稿仕事を急ぎ片付け、昼から打ち合わせ、仕事場に戻ってからは取材テープの起こし作業とマメマメしく働いていた夕刻、神田の三省堂さんから、3号20冊、4号50冊の追加注文が入る。うおー、嬉しい、嬉し過ぎる〜ってことだから当然飲みに出かけて、鍋物つつきながらビールなんぞを飲んでいた。するとそこへメールが来た。「明日、試験。数学やばし、早よ帰れ」ってな文面。中学生の娘から。あははは。だいぶ困ってるな、少し遅く帰ってもっと困らせてやろうかなんか思いながらも早々に引き上げ、そこからはまっすぐ帰宅。さあ頑張ろう! と始めてみたのはよかったが、あれ? これ、なんだっけ? どうやって解くんだっけ? ちょっと答えの冊子をもっておいで、ははあなるほど、そうだった、そうだった、と、実にどうも怪しい。困り果てたのは小生のほうなのであった。

3月2日(火) 秋田最終日の朝はチョイ吐き           文責:タケ
 何時に寝たか、よく覚えてないが、起きたのは4時半。とにもかくにもシャワーを浴びて目を覚まし、ホテルのロビーへ降り、チェックウトをすませると、セミナー参加者、みなさん、目を赤くして、ロビーのソファにへたりこんでいる。厳しいセミナーなのだ。そのまま酒蔵へ行って朝飯前の見学を行うのだ。寒いよ、寒い。オマケに極度の二日酔い。ペットボトルの水をがぶ飲みしつつ、なんとか酒蔵へついたものの、小生、もう、完全にいけない状態でしたね。朝食前、トイレで戻す。水だけ。それで少し元気になって朝食をすませ、さらに工場見学を進めるうちに、下のほうも直通となって再びトイレに駆け込み、いよいよ元気になって、二日酔いもどこへ吹っ飛んだか、試飲の猪口を幾度も傾ける。ウエーってなるか? ならない。うまい酒のせいか、土地がいいのか、昨日のネパール美女のお陰か知らないけれど、極上の、できたての、うまい、うまい酒はスルスルと喉を通過してしまう。セミナー終わり、空港へ。いやはや、ここでまた、飲む。今度は地ビール。編集Sさんも元気よく、飲んでいる。まだ、早い午後である。さあ、帰って仕事だあ!

3月1日(月) 愛しのネパール美人よ               文責:タケ
 昏睡の3時間でなんとか起床。朝食は抜き。普段は必ず食べるのだが、この日は、その時間を取ることができず。なにしろ、8時半には、酒造体験セミナーの開催される会場に到着していなければならないのだ。昨夜はボロボロ。最後の店まで一緒にいてくれたFさんいわく「アンタ、おでんバーで、ラブユー東京歌ってたよ」……。ほんと、このセミナー、きついのである。で、ともかく研修は、午前午後とばっちり続き(書くのはそれだけなの?)、いよいよ夕刻となって、今度は酒造会社の人とセミナー参加者の懇親の宴。これまた長い宴であるが、料理は味、量ともに申し分なく、酒ももちろん、その酒会社のうまいヤツが飲めるから、かなりイッてしまう。しかし夜はまだ、その懇親会場を出たところで、9時である。Sさん、Fさん、Kさんと4人でまずはバーへ。少し喉を潤して、というより満腹の腹がこなれるのを待って、どっか女性のいるところへ――。となってKさん離脱。偉い。我ら3人はフィリピンパブなのか、どこパブなのかわからないところへ突入。いたのはネパール人であった。きれいなんだよねえ。ネパール人。歌って歌って、それでも極度に疲労しているから延長はなし。店を出てさあ帰るか。帰るもんか。で、もう一軒バーへ行って、2杯ほどで、前夜にひきつづき、小生、イッてしまいました。おぼろげに覚えているのは、名前も忘れたネパール美女の、横顔のみ。


最新酒記 2/17-2/29 3/17-3/31