■2003年9月1日(月)〜9月17日(水)■

9月13日(土)〜17日(水) 絶不調の5日間           文責:タケ
 13日(土)、自宅で仕事を始めると妙に胃が痛む。急ぎの仕事ゆえ神経性のものかと思うが、やがて腹も痛くなり、ついに夕食を残す。
 14日(日)は午前9時から仕事場で追い込み。胃の痛みは続いている。が、毎年、秋に差しかかると起きる不具合なので気にせずに置くことにする。しかし、それにしても今回のは強烈だった。深夜から猛烈な下痢。
 15日(月)、トースト半分の朝食がやっと。昼食に気合を込めて肉まんを食すが、胃腸全部、腹全体の痛み激しく。尾篭で恐縮だが、1日に10回の水便。
 16日(火)、未明より下痢。ついに何も食べられず。仕事場へ向かうが足元もふらふらする。この晩、「書評のメルマガ」の編集長・南陀楼綾繁さんはじめ、酒とつまみを応援してくださる人々と飲む約束があったが、痛みと腹部の虚脱感に耐えかね辞退することに。せっかく仕事場まで訪ねてくださったのに、本当に申し訳ない。だが、痛み、下痢はまだ続き、この日の深夜になって粥を少し食べた。
 そして本日の朝。ようやく薬が効いたか。痛みは収まり、恐る恐るうどんを啜る。1時間経過しても痛まないので医者には行かず仕事場へ向かうが、校正紙に赤を入れるのがやっと。缶ビールを開ける気力なく。思えば、この5日間ウンコばかりしていた。

9月12日(金) スタジオ カンヅメ 日替わり定食2   文責:サイトウ
 本日の日替わりの主役は、なんと!ベ〜コンエッグであった!だがしかし、小鉢がなんと!ほうれんそうのオヒタシである、カツブシも少々上にかかっている。有り難い!俺はほうれんそうのオヒタシが大好きである。そして昨日とまったく同じタイミングで昼飯達は運ばれて来た。相変わらずどんぶりの中は大盛りごはんであった。俺は余裕シャクシャクで最後のベ〜コンエッグを待っていた。…。やばい!やばい!です。目玉焼きが、あの、めちゃくちゃ半熟目玉焼きがなんと本日はウェルダムではないか!まいった!ご主人〜!!パサパサの黄身だと最後の締めがシックリ来ないではないか。俺は腹をくくった。ポケットには500円玉1枚しかない、おかずの追加はできないのである。よし、ほうれんそうを最後にもって来よう!それしか逃げ道はない。少々のカツブシが強いみかたであった。俺の眼差しはおかずの一つ一つの残を鋭く追いながらごはんとのバランスを見計って行った。そして残ったごはんとほうれんそうの量が最良の所で、俺はふ〜〜っと一息ついてお茶をすすった。なんとか無事に今日の日替わり定食も終わろうとしている。10円玉を握りしめ俺は誓った。明日は店を変えよう。と。

9月11日(木) スタジオ カンヅメ 日替わり定食    文責:サイトウ
 商店街のアーケードとは又離れた所にその定食屋はあるのです。60才半ば位でしょうか、まさに初老といった感じのご夫婦が切り盛りしています。切り盛りと言ってもテキパキ、と言う感じではありません。490円の日替わり定食の本日の内容はと言うと、卵1つにハム2枚キャベツ少々、キュウリと白菜の漬け物、ひじき少々の小鉢、わかめ少々のみそ汁、そしてどんぶりごはん。まず、おしんこ、ひじきの小鉢、みそ汁、そしてどんぶりごはんの順に先に来てしまいます。それから初老のご主人はハムエッグなるものに取りかかるわけです。ごはんとみそ汁が冷めちゃうな〜、と思っていると本日の主役が登場と言う感じです。全員揃った所でその大盛りどんぶりごはんをにらみながら少しの間、思案橋ブル〜〜ス。明らかにごはんに対しておかずの量が少ないのです。ウ〜ン、どうしたものか?そして、ふとハムの上の目玉焼きを見て俺は安堵と共に昼飯をスタートする事ができたのです。その目玉焼きはめちゃくちゃ半熟だったのでした。そして計画どうり半分残ったどんぶりごはんにめちゃくちゃ半熟目玉焼きを醤油と共にぶっかけて、めでたく本日の昼飯は終了したのであります。そして俺は10円玉を握りしめて又スタジオへと帰って行くのでありました。あしたの日替わりはなんだろ〜?

9月10日(水) 夕方、新橋で解放された日にゃ         文責:タケ
 午後から外出の予定があって、朝早くから仕事に励む。幸いうまく運んで、外出後には仕事場へ戻らなくて良い状況になった。そして、外での用件が片付いたのが午後4時。場所は新橋。昼食を抜いていたので腹も減っている。こうなると飲まないわけにはいかない。まずは蕎麦屋でビールとざる蕎麦。その後でコリドー街へと迷い込み、午後3時から営業している7丁目の『ロックフィッシュ』へ。缶詰のつまみで角のハイボール。外はまだ明るく、いつも賑わっているこの店も比較的に空いていた。気分よく、3杯飲む。佐藤謙一さんの店『ル・ヴェール』を経由して8丁目へ回り、『FAL』の扉を開ける。ここまでずっとソーダ割り。すでにかなり回っていて、カウンターにいたお一人のお客さんに(マスターが声をかけてくれたのがきっかけだったと思うが)話しかけ、『酒とつまみ』本体と、それを作っている輩のバカさ加減を開陳してしまう。ご迷惑だったでしょう。すみません。ふらふらとした足取りで再び新橋駅にたどり着いたのは、飲み始めから6時間後。銀座線に乗れば渋谷の店の閉店にぎりぎり間に合う。しかし、もう飲めそうもなく、おとなしくJRを選択。東京駅で中央線に乗り換える。帰るつもりなのか、吉祥寺でもう1杯飲むつもりなのか、自分でもよくわからない状態だった。

9月9日(火) 仕事を終えてひとり酒              文責:タケ
 今日が納期、という仕事を、最終日になって悶えながら追いこむ。仕事の合間に思うのは、終わった後の最初の1杯のこと。仕事の途中で1杯ひっかけてしまうと後の酒のウマさが減少するような気がするので、最近では、仕事中にはほとんど飲まないようにしている(といってもこの原稿は別)。で、終わったのが午後10時。もう仕事場には誰もいなくなっていた。どこかへ出るか。仕事場で飲むか。しばらく迷って、仕事場で飲むことに。戴きモノの日本酒をちびちびやりながら読みかけの文庫本を開く。この狭い場所で仕事をするようになってから10年になるが、当初の仲間はほとんど酒を飲まなかったから一人で出掛けることが多かった。立ち飲み屋でビールを1本、酎ハイか日本酒を1杯。その程度の楽しみが、金銭的にも限界だった。それに比べて今は、金がないのは相変わらずとしても、飲む量と頻度は飛躍的に増えた。しかし、一人で飲むことは、むしろ減っているかもしれない。たとえ一人で出掛けても、そこには知った顔が必ずいる。そんな飲み方が増えている。日本酒を、コップで、2杯飲んだ。体の奥がほんのり温まって、昼間の暑さがウソのように涼しさを感じる。ゆっくりと、本を読みながら飲んでいたから、時計はもう、11時を指していた。さてと、帰って寝るか。戸締りをして外へ出る。風が出て、心地いい。帰るか。いや、やはり、どこかへ顔を出すか。迷いながら、神田川を渡った。

9月8日(月) ベロベロで納品していいのか!          文責:タケ
 元気いっぱいで仕事場へ。午前中から猛烈に励む。もちろん仕事である。そして夜には、納品2件。ひとつは銀座のロックフィッシュというバー。マスターのMさんが小誌にむちゃくちゃ肩入れしてくれていて、先日ベロベロで訪ねた際には、「あと30冊持ってきて」と嬉しい囁きをくれ、しかも、オータケのことだから覚えちゃいまいと、小誌連載陣のY女史に念押ししておいてくれと伝える用意周到ぶり。それで納品。もちろん飲む。濃いヤツをグビグビと、こいつ、泣かせやがると思いながら飲む。それで酩酊。丸の内線でちょっと睡眠。荻窪でJRに乗り換えた向かった2軒目が西荻窪の信愛書店。この日の朝、酒つま編集部あてに追加注文をいただいていた。深夜まで店を開けていて、小さいけれど欲しい本が見つかる店。20代の頃から時々寄らせてもらっていた本屋さんが今はお客さん。深夜に納品するのが嬉しくてしかたがない。でも、すでにベロベロだ。いつも、こうだ。それなのに、信愛書店さんは、その名の通り、温かく迎えてくれる。バックナンバーが手に入るようなら回してよ、なんて、本当に泣けるひと言をくれたりする。こうなると、まだ、飲むでしょ。そう、飲むんですよ、嬉しいから。

9月7日(日) ビールのために生きている            文責:タケ
 早朝からすこぶる空腹。丼飯2杯。これだから我ながら嫌になる。体重が減るはずもない。でもまあ、いいじゃないの元気出たんだし。ということで午前中から近所のプールへ。へろへろの体に鞭打って600メートル。これで昼ビールがウマイ、などと考えている。そして、昼は蕎麦とビール。はは、うまいね。午後からは、さすがに仕事。追い込みである。ここはマジメに取り組む。というのも、夕方まだ明るいうちから入浴後のビールを楽しみたいため。ウマイビールを飲むためだけに働いている感じだが、飲み食いとヨタ話以外に面白いものがあるか! と居直りたい気分。居直るまでもない。それしかないんだから。

9月6日(土) システムダウン、でも、豆腐とビール      文責:タケ
 前夜、加賀屋の後でまた飲んじまって、本当のへろへろ、システムダウン。こんな日は、そば殻の枕とタオルケット、麦茶と文庫本を揃えて畳の部屋で終日ウダウダ。読んだり寝たりの繰り返し。夕方から入浴。こなすべき仕事のことはなるべく考えずにウダウダを継続。晩飯もマジメに食わない。というより食べられない。ビール1本と、木綿豆腐一丁のみ。寝る、寝るに限る。仕事のことは、考えない……。という夜に限って深夜目覚めて資料を読んだりするから我ながらこの貧乏性たまらんものがあるな、と思いつつ、ビールもう1本。

9月5日(金) 全国制覇への夢を胸に編集会議          文責:タケ
 午前中ヘロヘロ。珍しいことじゃないものの、へろへろは辛い。でも、営業。なにせ誇大妄想である。全国チェーンの書店を調べてプリントアウトし、それをファイリングしただけで、なんかこう、ひと仕事した気分。ざる蕎麦でビールでもいっとくか、といった感じ。ぜんぜん、へろへろじゃない。こうして1杯飲みつつ、酒つま第4号の編集会議。ったって、いつも顔を合わせている人たちとツラツラ話し合うのみ。まあ、ダラーっと、そうね、かるーくね、なんかいいながら会議終了。と、その頃、スタジオ缶詰がつづくSさん、いつになく元気に御帰還。それもそのはず、今宵は、ホッピーマラソン第1回の初日に伴走してくれたH女史と、その友人で編集兼ライターのYさん(3号の編集で何度もお世話になった)が、我らを慰労してくれるというのだ。いや、こちらが慰労して差し上げなければいけなかったか。それはともかく、女性が2人も来るとなると、Sさんは態度が違う。いつもは、てめえらザケンジャネエゾってな顔している(最近、編集部の紅一点Y子ちゃんが忙しくてなかなか仕事場に来られない)のに、こういう日は顔が丸い。声も穏やか。みなさん、お疲れ様ぁ〜、かなんか言って、タコ社長の印刷工場を冷やかす寅さんさながら。いい気なもんである。ンでまあ、仕事場近く、浅草橋の加賀屋へ乱入。ホッピー飲みと相成った。Sさん、好調。「今日の酒つまがあるのはあ、ひとえに、タケちゃんの営業力のお蔭、お蔭・オブ・タケちゃんであ〜る!」ってな具合。演説はいいから、営業、手伝ってよと言いたいところ。でもね、いいんですよ。Sさんのこんな楽しそうな顔が見られれば。閉店間際、加賀屋のお母さんに向かって「中と外、フォー・イーチね」 英語が出ましたよ。まだ、目の前のホッピーもたっぷり残っているというのに……。

9月4日(木) 妄想止まらず。こうなると躁病!        文責:タケ
 取材の帰り、日本橋に降り立った。鞄の中には『酒つま営業セット』が仕込んである。日本橋かあ、丸善があるなあ。よし、いっちょ、行ってみるか! 誇大妄想に取りつかれた営業男、創刊号が出たばかりの頃には恐れ多くて足を向けられなかった日本橋丸善へと突入。そして、なんと、話が決まった。おお! といちばん驚いたのは本人である。かくなるうえは、八重洲ブックセンター突入を躊躇う理由は何ひとつ見つからない。誇大妄想はついに小生の哀れな精神を完璧な躁状態ならしめ、普段は極度の小心者のくせに妙に図太いやったるぜい魂が腹の底から湧いてくるのであった。そして、八重洲BCとも取引開始が決定。なんということだろう。飲まずにはいられない。で、痛飲。ちゃんこ屋さんで激飲してから連載担当の佐藤さんの店へ移動。するとそこへ、大日本飲酒党幹事長を自任するAさん来店。おお、久しぶりです! などと喜びの声をかけ合うも、小生、一抹の不安隠せず。帰りが始発電車になるという不安だ。そんなことはお構いなしに飲みまくり、喋りまくるAさん。猛烈に働いて猛烈に飲むAさんの平均睡眠時間は2時間半。こういう人と、酒を競ってはいけない。生命にかかわる。だが、Aさんはおもしろい。ムチャクチャおもしろい。だから飲む。時間がわからなくなる。それでさらに飲む。明日もあるというのに、同じく明日もあるAさんがにこやかに飲んでいるのでは、引くに引けない。大酒になった。

9月3日(水) 誇大妄想の夕べ                  文責:タケ
 阿佐ヶ谷芙蓉堂書店へ10冊納品。おまけに、超弱小ミニコミである小誌を唯一取り次いでくださる地方・小出版流通センターから、早くも追加のオーダー。両方とも、編集部紅一点のY子ちゃんに納品に行ってもらう。小生は、昨日の夢を再びとばかりに、今度は啓文堂書店の渋谷店へと突入。あれやこれやと言い募り、心優しき副店長の承諾を得る。やった! やった! 仕事場へと帰る地下鉄の中で、「こうなったら全国の書店さんに電話とファックスで営業攻勢をかけるぞ!」と力みまくる。誇大妄想は小生の性癖、こうなると止まれない。仕事場で営業対象リストを作成、近くの飲み屋で編集Wクンに、今後の営業方針など熱く語る。ビールがうまい。「いいか。1店舗平均15冊として、100店舗開拓すれば1500部だ。いや、1店舗20冊なら2000部じゃあないか!」ひとしきり話を聞いていたWクン、そこでひと言。「そろそろ、4号の編集会議開きましょうや」 なんか忘れてると思っていたのが、それだった。

9月2日(火) 二日酔いで飛び込み営業             文責:タケ
 二日酔いに負けて午前中を台無しにし、三鷹駅前の啓文堂書店へ営業に出向いたのは昼過ぎだった。この店の店長を訪ねてみろよとアドバイスをくれたのは、あゆみBOOKS八王子店のM店長。小生は学生時代、小さな出版社で使い走りをしていたのだが、そのとき営業部でバリバリ働いていたのがこの人。お付き合い頂いて、もう20年になる。三鷹店では、二日酔いでいきなり現れた小生を訝る様子の店長に、創刊号と2号の好調ぶりをアピール。ぜひとも置いて欲しいと熱意だけは一人前に営業する。どういう内容なの? という問いに、「酒を飲み過ぎてウンコ漏らしちゃったり、そんな話を集めてみました」というと、いかにも謹厳な風貌の店長、にっこりと笑った。商談成立。図に乗って「目に止まりにくい本ですからたくさん部数を置いて頂けますとよろしいかと」なんか言ってみたら「じゃ、30冊で行ってみようか」とのお答え。やった! 言ってみるもんである。もちろん売れ残ったら即座に引き取りに行くわけだが、嬉しくて仕方がない。調子づいて阿佐ヶ谷の芙蓉堂書店(おもしろい本屋さんだと友人から聞いていた店)に突撃。店長さんには会えなかったが売上好調ぶりアピール資料(ペラ1枚)と3号を1冊預けて仕事場へ。一刻も早く三鷹の啓文堂さんに置いていただきたく、さっそく荷造りをして引き返す。三鷹では、さっき来たばかりの二日酔い男がまた来たので店長も驚く。その後、国分寺へ。昨晩、情け深いお客さんが注文し、店の主が代金を先払いしてくれた10冊分を届ける。開店間近、店の前の道に水を撒いていたご主人、「わざわざ持ってきてくれたの。ありがと」と言ってくれる。見た目、ちょっと怖いのだが、本当に心根のやさしい人。また泣きそうになる。そして国立の増田書店へと向かい、創刊号と2号の精算。「3号ね、伸びるようだったら冊数増やすからね」との激励のひと言を頂戴。こうなると勢いは止まらない。駅前からバスに乗って目指すは府中。駅ビルに入っている啓文堂書店の府中店へ突入。三鷹店でのお話をさせていただき、もちろん売れ行き好調アピール資料も見せながら熱烈営業。というより、とにかくお試し下さいの一点ばり。そして、「じゃ、30冊、やってみよう」 頭、カーッとしてしまって、わけがわからない興奮状態。昼間、資料と本を置いてきた芙蓉堂さんに電話。すると、「おもしろそうだね、10冊持ってきてよ」 ああ! なんという1日! この喜びを誰かに伝えたいが一人きり。そこで、京王線仙川駅前の「きくや」へ突入。ビール大瓶2本の後、ハイサワー、さらにはホッピーへ。つまみは枝豆、新サンマの塩焼き(激ウマ)、ニンニク揚げ(ぶりウマ)。

9月1日(月) 国分寺の飲み屋で涙す!             文責:タケ
 松崎さん、すわさん出演の「他言無用ライブ」が九州と広島で公演するにあたり、「本、持ってきてくれれば売ってあげるよ」という温かいお言葉がライブのプロデューサーから寄せられ、さっそく甘えることに。大汗をかきながら200冊を預け、ずずーっと頭を下げてよろしくお願い。その後、国立の書店さんに3号を届け、国分寺の「いっぱいやっぺ」というもつ焼きが非常にうまい店へ1冊届ける。ホッピーマラソンで取材をさせていただいた店だが、店内に入ると「おお、本、できたの?」と声をかけていただいた。取材の折、「うちは紹介してもらわなくていいよ」と言うご主人を説得してくださった常連のお客さんだ。「はい、できました」と答えて1冊お渡しすると、カウンターにいたお客さんたちが次々にどれどれとばかりに見てくださる。つまんねえなあ、なんて言われたらどうしようと思いつつ、ビールをグビグビと飲む。概ね好評の様子、胸を撫で下ろす。カウンター席のひとつに座わりサワーに切り替えて飲むうち、ちょっと強面のお客さんに声をかけられた。「これを売って歩いているのか」「はい」「そうか、おい、10冊、買ってやれ。代金は俺のほうに付けておけばいいから」お客さん、店のご主人に向かってそう言った。ご主人も、できた方で、すぐに10冊分のお金を手渡してくれる。なんというか。感動もの。涙が出た。誇張ではない。結局、閉店間近まで飲み続けることに。その後、東小金井の「やまちゃん」(ここも取材させていただいた店)に1冊届けるときも胸の中はほんわかと温かいまま。この店の大将がまた、小生が入店するや、「お、ホッピーの」なんて言ってくださる。覚えていていただけたか。そう思うだけで、また涙……。ベロンベロンになるまで、いってしまった。


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