■2003年7月1日(火)〜7月16日(水)■

7月15日(火)〜16日(水) 意図的な牛歩戦術ではないけれど 文責:ナベ
 独占酒記のタイトルバーに「作ってフラフラ」と謳ってはいるものの、気がつけばここまで書かれているのは「飲んでヘロヘロ」のことばかり。そんな飲んでばかりで第3号はいつ出るんだ、という自責の念にかられる日々ではあるものの、それでも何とか編集作業は牛歩戦術並みのスピードで徐々に進んでいる。牛歩戦術と言ったって、国会の人たちみたいに意図的に遅くしてるわけではないけれど。連載執筆陣の方たちのゲラチェックを戻してもらったモノをこちらのチェックと照らし合わせた後パソコン上で修正したり、O氏と手分けして残りのページの原稿を書いたり。何だかんだやってるうちに、このところ編集部を出るのが午後11時頃って感じだ。15日と16日ともに同じ時間の過ごし方。違うのは、午前0時に吉祥寺駅前で食べた晩飯が博多ラーメンか松屋の豚生姜焼定食かってところか。思えば、先週土曜日から酒場で飲んでないなあ。

7月12日(土)〜14日(月) スベスベ肌とストリップ    文責:サイトウ
 12日。先週に引き続きで日、月と温泉取材の為おとなしい土曜日でした。あっ、イワシの立田揚げを作りました。ビールによくあいますね。
 13日。長野から長野電鉄です。途中の風景はりんごとももです。あま〜い香りが窓を開けると顔いっぱいにまとわりついて来て、いい心持ちです。車窓からの写真を撮りつつ横の席を見ると、同行のO氏も鼻をムズムズさせて何かメモッてます。小一時間で終点の湯田中駅に着きました。日曜で帰る人たちの中、我々はすいているであろう宿へと向かいます。タケちゃん、取材はこのパターンが一番いいね、みんな日曜に帰るし宿もお湯もガラガラだし。特に今回は創業二百四十年の老舗旅館なのでじっくりと撮影していかなければいかんのだ。…。いぃ〜宿である。さすが二百四十年。撮りごたえがある。夕食までの間、お湯につかった。部屋に戻って、立て続けにビール君2本を開けてしまった。なんだか肌がスベスベして気持ちが悪い。温泉のせいであろうか。撮影も完了して、ぼぅ〜とビールを飲みながら近辺の案内図を見ていた。むむむ!発見しました!それは町外れにあったのです。ストリップ劇場!そして、スナックも何件か、店名がまたいい感じ、ヨレヨレとか、愛の里とか。…。タケちゃ〜ん?どぅ〜する?チェックしとくか?行きませんよ!行くんなら、一人で行って下さいネ!ストリップもあるぞ〜?だから、行かない!って!…。俺はスベスベの肌を持て余しながらふとんをかぶった。
 14日。朝もやにけむる露天風呂を5時起きで撮りに行った。雨がパラついていたが気持ちのいい露天風呂であった。夜の雨でお湯がぬるいがドブンと浸かった。しばらく大の字になって眼を閉じると、雨が顔にポツリポツリ、わるくない。部屋に戻りふたたびふとんへ戻った。横でO氏がビールをポンと抜く、声には出ないが、ククク…、と笑いながらグビグビっと流しこんだ。ふぅ〜。帰りの車中、昔を思い出した。どこだったか忘れたが温泉場のストリップ劇場に入った時、切符きりのおばちゃんが踊り子で出て来た事があったな〜〜。と。

7月11日(金) あじたたの巻                 文責:サイトウ
 我らが編集発行人O氏を含め酒つまスタッフは異常〜に魚好きである。O氏との仕事の帰り、彼は言うのである。Sさん、まご茶づけって知ってます?おぉ〜ぅ!ホカホカごはんにあじたたときざみねぎを乗っけお茶をかけ、ぶっこむやつだろ〜!あれはいいな〜〜。食いたいな〜〜。眼を閉じるとプリプリのあじたたにホカホカごはんがドアップで浮かんで来た。この間、食って来ましたよ。あじたた!O氏が言うのである。なに〜〜?…。許せない!今日は、絶対にあじたただ!よし!と、事務所に戻り、W君〜ん?あじたたがネ、あじたたでサ、やっぱり人生はあじたただよネ?と、あじたたの雨をW君目がけて落としてやると、解りましたヨ!人生あじたたですヨ!行きます、行きますから、ちょっと待ってて下さいヨ。年をとると、なかなか待つということに寛容になれなくなって来ている。ソワソワしていると、W君も根負けしたのか、ハイハイと言いながら、あじたた、食べたいと思ってたとこなんですよぼくも。…。W君はいい奴である!浅草橋の魚充実の飲み屋で、あじたた、しめさば、きびなご、そして、さつまあげ、魚づくしの晩であった。あじたた!美味しゅう御座いました。

7月10日(木) ああ、取材、受けちまった!          文責:タケ
 昨日は、港町で早起き。朝食を済ませてすぐさま帰京し、日常業務をあれやこれやとやってるうちに、はや、午後7時。某誌編集者が打ち合わせのために訪ねてくれる。その後でちゃんこ屋へ。焼酎を少しばかり。しっかり食べる。
 そして本日は午前中から2件の取材を行い、夕方からは逆に取材を受けた。サイゾーという雑誌の編集者が仕事場まで来てくれて、なんと『酒とつまみ』についてなんか喋れというので、一生懸命喋る。その後で、近くの加賀屋にホッピーを飲みに行く。編集者も一緒。一応、ホッピーマラソンのランナーであるから、ここはしっかり飲まなくてはと、外3本で中5杯。いい感じで飲んだ。酔っていく途中で写真を撮られるのはなかなか厳しい体験。その店を出た後で、ひとりでもう1軒、行ってしまう。取材してもらって嬉しいのだが、なんかこう、取材されてしまった恥ずかしさが抜け切らず、結局ベロベロに。ふらふらと家に向かいつつ、今日、喋ったことを思い出そうとするのだが、うまくいかない。帰宅したときは、力尽きるという感じなのであった

7月8日(火) 夕方から港。夜はぐっすり。           文責:タケ
 午後3時半に都内での仕事が終わってローカル線に乗り約2時間。小さな港まで行く。一応はこれも仕事。仕事だが、メインの目的は、仕事の後で、早く寝ること。夕方に港町に着いて用事を済ませ、魚を食って少し飲んで、安いけれど落ち着く宿で寝る。ただ寝る。釣り宿なんかでいい。平日だからうるさい客もいない。風呂に入って、メシ食ったときに飲んだ酒が回り、上がってからまたビールなんぞ飲んで、本でも読もうかというときにはもう、眠くて眠くて。普段ならまだまだ飲んでる時刻。港の漁船とか釣り舟を見下ろし、タバコを一服。ひとりだから喋る必要もなく、テレビも見ないからイラつくこともなく、そうなるとこれ以上、飲む必要もない。ぐっすり眠った。

7月5日(土)〜7日(月) おでんに混浴スイッチバック   文責:サイトウ
 5日、翌日は早朝6時28分の東京発!機材準備。早起き。なのでビール1本で寝た。
 6日、温泉旅である。今回は米沢から車で1時間位、相当の山奥にあるらしい秘湯が目的地である。案内図によると、県道から山道に入り目的地まで15キロ、だがしかしその横に50分位!とある。同行のO氏と顔を見合わせる。なんと!そぉ〜と〜険しい山道、いや林道とみた!こころして登るべし!お互い眼で確認し合った。俺は助手席で自分のシートベルトをきつく閉め直した。10分位登ったろうか確かに山道なのだが鋪装もしてありユックリ行けば問題ない感じであった。ただ、ダンダンと徐々に道幅が狭くなってきている。そしてあろう事かタイミング悪く対向車がおりて来た。苦しい!幅がない!目一杯左に寄った。そして、ふと窓の外を見た俺は、ヒョエ〜〜〜〜!という奇声とともにシートベルトを力一杯!握りしめていた。タケちゃ〜〜ん!崖ですよ!崖!下はな〜んにもない断崖絶壁ですヨ〜!それから2度、3度シートベルトを握りしめたか?とうとう鋪装も終わってしまいボコボコのダートへと突入して行った。その途端、傾斜も急に強くなり、前日の雨で林道は穴だらけ、おまけに「熊に注意!」のでかい看板がある。冷や汗とケツの痛みに耐えながらなんとか目的地到着であった。そこは、切り立った山の狭い斜面にへばりつくように立っている温泉場であった。いい所である。お湯も源泉かけ流しだ。撮影のため露天に向かった。すると上から、白いバスタオルを首からダランと垂らした御夫人3人組が降りて来た。こんにちは、と挨拶してすれ違って行く、ふと横目にはその3人組のスッポンポンの背中が過ぎていった。御夫人達はなんと、タオルだけであったのだ。恐るべし!である。地酒の生と山の物中心の夕食とビールと天然温泉の晩であった。ケツの痛みはすっかり癒えていた。御夫人達のケツの残像は当分消えそうにない。「御夫人に注意!」である。
 7日、ひと昔前のスイッチバックの跡が残っている駅があるという。車で降りてもそうかからないらしい。朝から雨であったが、現場に着くと日が射していた。そこには土産物屋さんとほんの少しの日用品を扱っている店の2軒だけあった。さびしい駅だった。雑貨屋の店先にゆげが立っている。おでん1皿300円とある。大きな手持ちなべにいっぱいの具がハフハフと湯気を出している。すいませ〜ん!1皿下さ〜い!は〜い!と言って、女性が出て来た。ヒョエ〜〜?美人である!こんな寂しい所に。…。お、お、おでん下さい。1皿下さい。3つ好きなの、なにがいいですか?ちくわ、たまご、それと…、こ、こ、こんにゃく。スイッチバックの事を聞いた。丁寧に説明してくれた。冬場は大変ですよね〜?と、うわべだけの質問に、その頃は閉めちゃうんですよ。冬場降りる人は自殺する人ぐらいかな〜?と言って、ほほほほほ〜っと、笑った。美人の上、愛嬌もある。冬場はどこで何をしているのだろう?気になる。O氏が耳もとでささやく、米沢の温泉場で仲居をやってるか、盛り場のスナックのやとわれママですよ。あっ〜〜。でも、その日帰る予定だ。米沢からの新幹線の中、ビールをやりながら、こんにゃくの味を思い出した。窓の外はあのおでん屋さんの駅を通過するところであった。俺の気持ちはすでにスイッチバックしていた。

7月4日(金) ああ、デリス便、デリス便            文責:ナベ
 一坪あたりのビールの年間消費量が中央区一多い事務所とも言われている(?)当編集部では、冷蔵庫には絶えず缶ビールが入れられている。いや、詰め込まれているといったほうが正しい。夕方以降になると、我先にとばかりに冷蔵庫のドアを開け、あちこちから「プシュッ」という音が聞こえてくる。が、ビールを切らしていたときはもう大変。みな脂汗を垂らしながら、「誰だよ〜、全部飲んだのはよ〜」などと責任のなすり合いになる。大人げないったらありゃしない。そんなとき僕が担当するのがデリス便の注文だ。これは、コンビニのampmで行なっている宅配サービス。外に買いに行くのが面倒なので、すぐさま受話器をとり「缶ビールの6缶パック2つ、以上!」と頼む。それ以外のモノはほとんど頼まない。当編集部はすっかり常連になっているのだが、食べ物を一切頼まない我々をデリス便の人たちはどう思っているのだろう。そして今日もまた僕はプッシュホンを押すことになった。しかし、4階にあるのにエレベーターがない当編集部まで、ぜいぜい言いながら配達してくれるデリス便のオニイサンには申し訳ないが、冷蔵庫に入った12本のビールは一瞬のうちに消えうせるのだ。誰とはいわないけど、日によって、一人で4本も飲む人間がいるんだから仕方ないよなあ。

7月3日(木) いきなりラストオーダー?            文責:ナベ
 職人レポートのテープ起こしをしているうちに日が暮れた。酒や遊び、趣味などもろもろの誘惑に、その都度負けながら先延ばしにしていたテープ起こしがようやく終わった。ほっとひと安心していると、今日もまた背後にアヤシイ影が忍び寄ってきた。おまけに2つも。O氏とS氏の“優しくされると涙が出ちゃう40代コンビ”だ。冷たくされても涙が出ちゃう2人でもあるので、またもや誘いに乗り、浅草橋駅近くの中華デリカテッセンへ。最近ここへ行く回数が増え、店の女の子とも気軽に話すようになっているのだが、いかんせん長っちりの我々は、閉店時間(午後11時)を守らぬモラルなき酔っ払いたちと店では認知されている。21時に入店した今夜は、いきなり店のママに「サイちゃん、ラストオーダーだから」と言われる始末。こういう冗談に弱いS氏、がぜん勢いづき、生ビール、レモンハイの連発。O氏と僕も負けじと追いかける。そして、あっと言う間に午後11時前。店のブラックリストに乗るのも何だし、そろそろ帰るか。もう乗ってますよ。えっ、じゃあもう一杯。もうダメです! そんなやりとりをするS氏と店の女の子Aちゃん。この子はS氏のお気に入り。彼女の「もうダメです!」という言葉にすっかりご満悦だった。が、ブラックリストの第1位に君臨する寸前、デレデレのS氏を引きずり、我々は珍しく閉店時間ピッタリに店を後にしたのである。

7月2日(水) ソーメンも食えない日の夕方はキツイ!     文責:タケ
 こういう日の二日酔いは午後に来る。なぜならば、午前中はまだ完全に酔っているから意外に元気なのだ。しかし今日は違った。せめて何か食わなくてはと思って茹でたソーメンさえ、喉を通らない。厳しい。気分はハイとも言える状態なのに、何も腹に入らない。やたらと水を飲む。駅のホームで、電車の中で、仕事場で。でも治らない。気分が悪い。そして午後ともなると、強烈な不快感が襲ってくる。午前中からなんとか用事をこなしてきたものの、夕方近くになって完全にアウト。仕事場に置いてある病院の待合室にあるような長椅子に横たわり目を瞑る。「お前が書けば本は出る」 また声が聞こえてきた。吐き気を堪えてパソコンに向かい、書き始める。が、どうにもならない。汗が、ようやく流れ始める。9時半まで持ちこたえて帰路につく。まっすぐに。本当にまっすぐに。そして帰宅。少し食べる。風呂に入る。また汗が出て、気分が晴れた。気がつけばすでに零時近く。早く寝て、明日の早朝から書くか、今、少しでも書くか。悩む。そして、冷蔵庫から大瓶のビールを取り出す。結論はまだ出ていないが、今ならいくらでもソーメンを食えるのにと思う。ビールがうまい。

7月1日(火) 追い込みなのに飲むなっての!          文責:タケ
 もろもろ仕事を抱えつつ、我らが『酒とつまみ』も追い込み体勢に入った。なんて、エラそうに言えた義理ではない。発行予定は大幅に遅れそうであり、その原因はひとり小生にある。とはいえ、小生とて気になっているのだモーレツに。深夜目覚めれば闇の中で、「お前が書けば本は出る」という不気味な声が響いている。「シのゴの言わずに早く書け」、「オイ、コラ、ボケ、カス、寝てねえで起きろ」そんな声も聞こえてくる。
 しかし、である。やはり、飲んじまうのだ。原稿を書かせてもらっている仕事のひとつに、旅の雑誌がある。担当は温泉。連続企画だ。ケッ、クソ、てめえは酒飲んで温泉入ってンのか! という叱責がすぐさま飛んできそうだが、そうなんです。飲んで風呂入って、原稿を書くんです。ハタから見るほど楽な仕事じゃないけれど、正直に告白してこの温泉の仕事は楽しい。すみませぬ。ってなことで担当の編集者が訪ねて来てくれた。しかも夜。打ち合わせをして、何か食べようと言いつつ、小生は飲むのである。カメラのSさんも、この仕事で写真を撮っているので一緒に飲む。楽しそうだ。それで、1時間ちょっとの食事の間にビールを2杯にレモンハイを2杯。なかなかのハイペースであるのは承知だが、まあ、そのまままっすぐ帰ればそれで良し。でも、やはり帰らない。やはり、地元で痛飲。そう「ハバナムーン」。ギネスを2杯に、ラフロイグのソーダ割りを5杯。小生のことをウンコ野郎と呼ぶ友人がいて(創刊号参照されたい)、その人、ひたすら世を憂えていた。ソーダ、ソーダと叫ぶうちこっちもすっかりはしゃいでしまい、挙句のソーダ割り5杯飲み。撃沈、でした。これで明日も使い物にならんなと思いつつ帰宅。追い込みなのに……。


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